東京地裁八王子支部305法廷
2007-04-04


昨日(4月3日)、中大生協闘争弾圧の勾留理由開示公判に行ってきた。寒さが少し戻って、時々雨がぱらつく空。満開の桜。白い建物。地裁の入り口につくと、いつもの顔が見えた。
 「裁判官が若くてピリピリしてるみたい」
 えっ、ときくと、今日はずいぶん退廷させられているという。顔をまだいくぶんか紅潮させた仲間をとりまいて、「早かったよ」「すぐだったよねー」と笑い声がひびいた。
 14人一挙逮捕というのもあまりないことだけれど、全日勾留理由開示公判のスケジュールがつづくというのはぼくは初めてのこと。午後3時、この日最後の公判が始まった。55席ある席は退廷者の分だけ、歯が欠けたように空いていた。中に入ると、すでに4人の仲間が前に坐らされている。
 と、拳を突き上げて仲間に挨拶をした隣席の友人が即刻退廷を命令される。席を立たぬ彼は係官に取り囲まれ、「執行!」という声とともに、無理矢理ひきづられていった。きいていたとおり、まだ子供っぽさの残る裁判官は、場内の一挙一動に目をこらし、ここぞとばかり機敏に指を指す。「退廷」「退廷」「退廷」「退廷」……手を挙げた、拍手した、不規則発言をした。退廷は合計8人以上。
 この日の勾留理由開示公判は、無内容の再放送みたいなものだった。勾留の理由は、証拠隠滅の恐れがある。だから釈放できぬ、ということらしい。かれらの罪状は建造物侵入の現行犯。どうすれば「証拠」を隠滅できるのか。筋の通らぬ話だが、結局のところ、黙秘権行使に対する報復なのだ。件の裁判官は、弁護士が問いただしても、付け加える事はない、すでに説明した理由で十分だと考える云々……覚えた短いセリフを、ただただ繰り返すのみ。まるで九官鳥だった。
 弁護士の質問が終わると、次は4人それぞれが意見を云う番になった。4人の仲間は一端扉の外へ出され、1人ずつ、再入場させられ、手錠と腰縄をはずされて、話しだす。
 裁判官への直裁な非難、不当逮捕の弾劾、悪質企業中大生協及び弾圧を後押しした中大当局の糾弾、組合活動に参加した自らの正当性……ある者はぼやきながら笑いをさそい、ある者は激しく弾劾して傍聴席から何度となく同調の声を引き出し、ある者は淡々と……。
 話し終えた仲間は、腰縄をつけ直され、手錠をかけられて、ふたたび扉の外へ消えていく。縄を縛られる、そのほんのわずかな微妙な時間に、私たちは低い声をあげ、胸のところで拳をつくり、しきりに目線で頷き合う。
 勾留理由開示公判なんて、べつに何度も行きたくない。でも、法廷の策越しに交わす、押し殺された感情の交換の意味は、仲間にしかわかるまい。
 ……尻切れトンボですが、以上、昨日の法廷のメモとして。引き続き、中大生協闘争弾圧への注目を!(MN)

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